公式キャラクター「ハルオ」
今回は、パウダールームができるまでの話だよ!最初は“場所”の話に見えるけど、ほんとは“気持ち”の話なんだ。
第1話:ほしいのは「着替える部屋、お化粧できる場所、くつろげる場所」ではなかった
こんにちは。ハレカレ合同会社の古市です。主にデザインと企画の仕事をしています。今回、ジャパンポリマークさんの「ハルトツツム」におじゃまをして、この記事を書いています。
この記事のタイトルにもあるとおり、今回のテーマはジャパンポリマーク株式会社が「女性社員のロッカールーム・更衣室をリフォームした話」です。ただし本連載では、単に「つくりました」という結果だけでなく、この取り組みが生まれた背景や、そこに至るまでのプロセスを、全3回にわたって対談形式でお届けします。なお、このパウダールームづくりにあたって、ルームなどの設計以外のデザインやネーミング、記事制作を担当したのが、私、古市です。どうぞよろしくお願いいたします。
早速、本題へ。
女性の活躍が社会の前提として語られるようになって久しくなりました。男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年。制度上は、女性にとっても「働くこと」は当たり前の選択肢となってから、すでに約40年が経とうとしています。
そして、福井県では、15〜64歳女性の有業率が77.7%と全国1位!同じ調査で男女計の有業率も81.6%で全国1位とされています(日本経済新聞「生産年齢人口の有業率、福井県全国1位 働く女性増える」2023年7月21日)
全国的にも女性の就業率が高い地域のひとつです。製造業を中心に、女性は重要な担い手として現場を支えてきました。ジャパンポリマークも例外ではありません。
同社では、社員150人のうち女性社員が76人と、全体の半数を占めています(2025年11月現在)。こうした背景のもと、女性社員を中心とした社内プロジェクト「すまいるプラスプロジェクト」が2023年に立ち上がり、働き方や職場環境の見直しが進められてきました。そして2025年、福井県の「ものづくり企業女性活躍応援事業補助金」をきっかけに、社内の女性が、「仕事にベストの判断と集中にもどるためのパウダールーム:ヨハク」づくりに取り組むことになります。
そう!この記事は
その取り組みについて、対談形式の記事としてご案内してまいります。
- ・ジャパンポリマーク株式会社 第一製造部係長・小川さん
- ・ハレカレ合同会社 古市
どうぞよろしくお願いいたします。
___________________________
古市 今日は、パウダールームづくりの最初の話から聞かせてください。まずはっきりさせておきたいのが、この取り組みって、補助金ありきではなかったですよね。

小川 そうですね。補助金が出たから「何かつくろう」という話ではありませんでした。もともと、社内には女性社員を中心とした「すまいるプラスプロジェクト」があって、日々の働き方や環境について話す場はあったんです。
古市 その中で、出てきたテーマが「くつろげる場所がほしい」だったと。
小川 はい。でも正直、それ以上はうまく言葉にできなかった。「何が足りないのか」「どうしたらいいのか」を説明しようとすると、みんな黙ってしまう感じがあって。

古市 そこで出てくる声は「休憩室があるじゃないか」という声ですよね。
小川 そうです。男性の上司や社員からすると、すごく自然な意見だと思います。食堂もあるし、座る場所もある。合理的なんですよね。
古市 でも、休んだという気がしない…でしたよね?
小川 そうなんです。使えないわけじゃない。でも、気持ちが切り替わらない。「なぜ?」と聞かれても、当時はうまく答えられませんでした。「くつろげる場所がほしい」という要望が、仕事のパフォーマンスにどう結びつくのか、説明できなかったんです。
古市 当時、女性が一人になることができる場所って、実質ロッカーかトイレしかなかったんですよね。

小川 そうですね。でもそれって「すごす場所」じゃない。着替える、身支度を整える、用を足す。どれも“なんとか済ませる”場所であって、“女性”が休むための場所ではなかったと思います。
古市 「女性だけが休む場を欲しがるのは、フェアじゃない」っていう声はあがりませんでしたか?
小川 でました、でました!その声は、当然だと思っていました。この要望が会社にとってどんな価値を生むのか。それを明確にする必要があると感じていました。当初は言語化できていませんでしたが、県内にある参考となる企業さんの訪問を通じて、「仕事のパフォーマンス向上のための投資になるのでは」という視点が見えてきたんです。
古市 その「言葉を持ち合わせていなかった」状態から何が変わるきっかけになったんでしょう?
小川 福井県庁の方に紹介をいただいたことが、大きなきっかけでした。県内でSDGsに取り組んでいる企業同士をつなぐ仕組みがあって、ジャパンポリマークも、そうしたネットワーク(※ふくいSDGsパートナー)の一員として関わっていたんです。
古市 なるほど。その参考となる企業さんを以前から知っていた、というわけではなかったんですね。
小川 はい。「SDGsの考え方に沿って、地域全体で持続可能な取り組みを進めていこう」という枠組みの中で、「今、こういうテーマで悩んでいるんです」と、福井県でSDGsを推進されている北川ディレクターに相談しました。すると、「それなら、こういう企業がありますよ」と、「株式会社エル・ローズ(以下、エル・ローズ)」さんをご紹介いただいて、実際に見学までさせていただくことになったんです。

古市 相談したら、具体的な行き先が返ってきた。展開が早いですね!
小川 そうですね。新しい取り組みをしようとするときって、「本当にここまでやっていいのかな」と不安になるじゃないですか。でも、県内ですでに実践している企業があって、しかも実際に見に行けるというのは、すごく心強かったです。
古市 で、エル・ローズさんに訪問されていかがでしたか?
小川 正直、驚きました。「ここまで考えていいんだ」と思えたというか。使いやすいとか、きれいとか、それ以前に、“女性が過ごす前提で設計されている”空間だったんですよね。
古市 具体的には?
小川 すごく心地よい空間になっていて、体を動かすジムやパウダールームまで用意されていたりして。「ただ休むための場所」ではなくて、心身ともに仕事に良い状態で臨むための空間、という説明がとても印象に残っています。


古市 なるほど。会社のなかにあるスペースだからこそ「仕事のパフォーマンスにつながる空間」というのは、スッと道理が通ります。
小川 そのとき、ハッとしたんです。私たちは休むために会社に来ているわけじゃない。最高のパフォーマンスを出すために来ている。そのために必要なのは、「役割や緊張を一度リセットして、ベストな判断力と集中力をチャージする時間・空間」。つまり、これは福利厚生ではなく、業務効率化の投資と考えられないか、と。
古市 なるほど! 「くつろぐ=サボる」じゃないぞと。
小川 そうなんです。むしろ、働くために必要なプロセスなんだ、という考え方に変わりました。この空間は、組織のパフォーマンスを支えるための環境なんだ、と。エル・ローズさんを見学したことで気付かせてもらったんです。
古市 頭で理解するのと、目で見るのとでは、全然違いますよね。
小川 本当にそうでした。それまで私たちは、「言っていいのかな」と迷っていたけれど、実際の空間を見たことで、「これは組織にとって合理的な投資だ」と腹落ちしたんです。
古市 そのタイミングで、福井県の「ものづくり企業女性活躍応援事業補助金」の話が重なってくる。

小川 ラッキーだったと思います。「これを使って進めることができる」と思えたんです。補助金ありきじゃないけど、“加速装置”になりました。
___________________________
こうして、ただ「くつろげる場所がほしい」という声は、仕事のパフォーマンスを支える投資という新しい視点に変わりました。
次回は、第2話では、その気づきをどう具体化し、「自分にもどれる時間・空間」というコンセプトが生まれたのかをお届けします。
第2話はこちらから↓
会社のなかで活躍するための余白づくり 〜女性の働き方検討グループ パウダールームづくり奮闘記②〜
一度気持ちを整える場所があることも、ちゃんと働くための一部なんだね。
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