公式キャラクター「ハルオ」
ロゴの色が変わる??今回はトラブル事例を紹介するよ。
皆さん、こんにちは!
夏の猛暑もようやく収まり、過ごしやすい日々が戻ってきましたね。
さて今回は、熱転写ラベルに関連する事故事例を紹介し、それを防ぐための対策についてご紹介いたします。
この記事は、熱転写を扱う方や圧着作業を行う方、また熱転写ラベルを検討している方に役立つ情報です。
必ず知っていただきたいことなので、ぜひご一読ください。
記事の内容
1. 移行昇華汚染とその原因
2. 防止するには?
3. まとめ
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1. 移行昇華汚染って何?そしてその原因は?
熱転写ラベルはさまざまな用途に使用されます。その被着体(圧着される生地)も様々で、生地の素材(組成)に応じて異なる染料が利用されます。
その染料の一部には、ポリエステルやポリウレタンに使用される分散染料や昇華染料が含まれます。これらの染料は、染色後は細かい粉末(固体)として生地に付着していますが、アイロンや熱転写時のプレス作業で熱を加えると固体から気体になる現象が起こります。これを昇華現象と呼びます。
熱転写ラベルの場合、熱圧着時にこの昇華した染料がロゴに移染し、ロゴ色が変わる(生地の色が透ける)現象が起こることがあります。これを『移行昇華汚染』と言います。
より分かりやすくするために、メカニズムと実際の写真を以下に示します。
1.通常の状態(熱圧着前)
2.熱圧着することで、染料が昇華する
3.昇華した染料がラベルを汚染してロゴの色が変わってしまう
汚染されていないラベル外観(白のまま)
(この生地には昇華転写を使用しています。)
これが汚染された状態です。生地の柄が少し透けています
(促進試験後の外観です)
2. 防止するには?
移行昇華汚染が発生した場合、ロゴの色を元に戻すことはほぼ不可能です。
そのため熱転写ラベルを使用する際には、このような事故を未然に防ぐ品質管理が重要となります。
その手助けとして、当社では以下の防止策をご提案しています。
① 事前の定着試験で事故を防止する
当社では事前の定着試験を実施しています。お客様から提供いただいた実際の生地(染色済み)を使用し、洗濯試験と移行昇華汚染の試験を行います。移行昇華汚染試験では、ロゴへの汚染(変色)がないかを事前に確認します。これにより、事故を未然に防ぐための対策を講じます。
② 適切な転写ラベルの選定
ラベル生産前に、被着体の情報を提供いただければ最適なラベルタイプを選定できます。被着体の情報は、ラベル生産の際に非常に重要となります。ポリエステルやポリエステル/ポリウレタン混であれば分散染料を使用している可能性が高いです。
③ 圧着条件の選定
圧着条件の選定も移行昇華汚染を防ぐために役立ちます。転写時の温度を低く設定することで、昇華汚染のリスクを低減できます。
当社では、130℃で転写できるラベルも取り扱っており、事前試験で最適な条件を特定し、お客様に提案しています。
また、当社では昇華汚染防止に特化したラベルもご用意しております。お客様の用途やニーズに合わせて最適な選択肢をご提案いたします。
お客様の事故ゼロを目指して、当社は日々多くの事前試験や開発を行っています。なお、生地での防止策として、カチオン染料を使用することで昇華汚染のリスクを軽減できます。
昇華汚染防止強化タイプとの比較試験を行いました。
(生地には昇華転写プリントを使用)
右側のラベルは汚染されていません!
3. まとめ
- ・移行昇華汚染は主にポリエステルやポリウレタン素材に発生する可能性があります。
- ・事前の定着試験や適切な情報提供により、移行昇華汚染の事故を防ぐことができます。
- ご不明点やご質問があれば、どうぞお気軽に当社までお問い合わせください!